昭和44年創業、日本を代表するエレキギターブランド「FERNANDES」が2024年7月、その歴史に幕を閉じました。HIDEや布袋寅泰など、数々の伝説的ギタリストに愛されたブランドの終焉は、多くのファンに衝撃が走ったのではないでしょうか?
本記事では、フェルナンデス破産の背景、その輝かしい軌跡、そして日本の楽器業界の未来について考察します。
フェルナンデス破産の背景
2024年7月、フェルナンデスは事業継続を断念し、破産手続きを開始しました。直接的な原因は資金繰りの悪化ですが、その背景には複合的な要因が絡み合っています。
資金繰りの悪化と事業継続の断念
フェルナンデスは近年、経営状況が悪化していました。2022年1月期には売上高が1億6608万円まで落ち込み、2414万円の最終赤字を計上。様々な立て直し策を講じましたが、資金繰りの悪化を食い止めることはできませんでした。
大阪フェルナンデス破産の影響と連鎖
2023年4月、資本関係はないものの関係の深かった「株式会社 大阪フェルナンデス」が破産。これはフェルナンデスにとって大きな痛手となりました。販路の縮小やブランドイメージの低下など、様々な悪影響が連鎖的に発生したと考えられます。
楽器業界全体の構造変化と市場縮小
ギター市場は、少子高齢化や若者の楽器離れなどにより縮小傾向にあります。確かにギターやベースでバンド・ミュージックをするよりも、DTM等で打ち込み音楽を作った方が音楽で飯を食うということに関しては入り込みやすいです。
また、中古市場の拡大や海外ブランドとの競争激化も、国内メーカーの経営を圧迫されています。
フェルナンデスもこの構造変化の波に抗うことができませんでした。
僕はこのブログを書きながらも、好きな国内メーカーにFERNANDESと同じ道を辿って欲しくない。と感じています。
コロナ禍による追い打ち
追い打ちをかけるように、新型コロナウイルス感染症の流行がフェルナンデスを直撃しました。ライブやイベントの中止、店舗の休業などにより、楽器の需要は大幅に減少。経営状況はさらに悪化したでしょう。
コロナ禍だからこそ、楽器を始めた方たちも沢山いましたが、それ以上に楽器への情熱や興味を失った人の割合の方が多かったのでしょう。
フェルナンデスの輝かしい軌跡
1969年の創業以来、フェルナンデスは日本の音楽シーンを牽引してきました。数々のギタリストやベーシストに愛され、革新的な技術を開発し、世界にその名を轟かせたブランドの軌跡を振り返ります。
布袋寅泰との蜜月関係とブランド確立
1980年代後半、布袋寅泰がフェルナンデスのギターを愛用し始めたことで、ブランドの地位はさらに確固たるものとなりました。布袋モデルのTE-95HTや小型でかわいい見た目のZO-3など、数々の名器が誕生し、多くのギタリストに影響を与えました。
創業からHIDEモデル誕生まで
1969年、フェルナンデスは楽器卸売業としてスタートしました。その後、自社ブランドのギター製造を開始し、1986年にはX JAPANのギタリストHIDEのシグネチャーモデルを発売。このHIDEモデルの大ヒットにより、フェルナンデスは一躍有名ブランドへと躍り出ました。
サスティナー開発と技術革新
1993年、フェルナンデスは世界初の画期的システム「サスティナー」を開発しました。弦の振動を継続させるこの技術は、ギターの表現力を飛躍的に向上させ、世界中のギタリストから絶賛されました。
キング・クリムゾンのロバート・フィリップもサスティナーを搭載させたFERNANDES製のギターを愛用している時期がありました。
海外展開とグローバルブランドへの挑戦
フェルナンデスは国内市場だけでなく、海外展開にも積極的に取り組みました。アメリカやヨーロッパに拠点を設立し、世界中のミュージシャンにフェルナンデスギターの魅力を発信。グローバルブランドとしての地位を確立しようと挑戦し続けました。
FERNANDESを愛用していたベーシストといえば、ロバート・トゥルージロも長年FERNANDESを利用されていました。
フェルナンデスが残したもの
フェルナンデスは、その輝かしい歴史の中で、日本の音楽シーンに多大な影響を与え、多くのギタリストに愛される楽器を生み出してきました。技術革新への飽くなき挑戦、若手育成への貢献など、その功績は計り知れません。
日本の音楽シーンへの貢献と影響
フェルナンデスは、HIDEや布袋寅泰など、数々のトップギタリストのシグネチャーモデルを開発し、日本の音楽シーンを彩ってきました。僕らがまだ学生だった頃、楽器雑誌のページはFERNANDESばかり。
低価格帯のギターやベースも楽器屋に多く並んでいたので、初めての楽器はFERNANDES。という方も周りには沢山いました。
FERNANDES FJB5-DLX PCS 5弦ベース
12万円代で買えるとは想像の出来ないFJB5-DLX PCS 5弦ベースも近年FERNANDESが販売した5弦ベースです。
3バンドEQに加えてミドルにはフリケンシーまでついている。その上ピックアップはハム、シングルも切り替えができるオールラウンダーなベースで多機能
日本の楽器業界の未来
フェルナンデスの破産は、日本の楽器業界にとって大きな損失ですが、同時に新たな時代への転換点でもあります。フェルナンデスが残した技術と精神は、今後の楽器メーカーの道標となってほしい。そう考えています。
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