フレットレスベースの指板に使われる指板材にはさまざまなものが使われています。
ローズウッド
エボニー
メイプル
パーフェロー…etc
木材以外の素材だとグラファイトだったり、フェイノリック樹脂の指板なんかがポピュラーですが、今回紹介するのは変わり種のステンレス指板です。
見た目が個性的なステンレス指板のフレットレスベース
ステンレス指板のフレットレスで有名なのはフランスの楽器メーカーVigierですね。
アイメタルと呼ばれるステンレス合金を指板材に使っているのが特徴です。
動画ではスラップ奏法などもしていますが、Vigierらしいゴリゴリした音がいいですね。とても魅力的です。
最近だとSTRADIというメーカーがステンレス指板のベースを販売していました。
日本に入荷されたもののお値段なんと100万円超え。
ボデイ材は2100年前のオーク材、ネック材は100年前にピアノに使われるはずだったメイプル材。ピエゾピックアップとステンレス指板の下に埋め込まれたマグネティックピックアップによって音を作っていくそうです。
YOUTUBEにて動画を見つけましたのでどうぞ。
Doomの諸田コウがMoon製のステンレス指板フレットレスを使用
Doomで活躍した故・諸田コウ氏はメジャーデビュー前からステンレス指板のフレットレスベースが欲しいなどと話しており、91年にMoonにお願いして作ってもらったそうです。その当時はステンレスではなくアルミ指板でしたが、翌年にはステンレス指板に変更。
Doom後期から亡くなるまでの間、愛用していました。
ちなみに…作ってもらえた理由は、スタッフの弟さんがステンレスの加工工場に務めていたことから実現できたそうです。
ステンレス指板はなぜ一般化されないのか?
画像はPGM工房にて20年近く前に作られたステンレス指板のベースです。
ステンレス指板が一般化されない理由は、加工が大変という点があげられます。
金属の中でも屈指の硬さを持つステンレス。
まっすぐの板から曲げたりすることは不可能に近く、指板作成時にネックのRに合うように加工工場で作ってもらわなければいけないそうです。
また、加工されたステンレスの指板をそのままネックの上に乗せて終わり。という簡単なものではなく、何度も何度も調整を繰り返してようやくちゃんとした楽器になってくれるようです。
接着方法も諸田コウ氏のインタビュー記事を見ていると、木材と金属では接着がうまくできず、試行錯誤の上でステンレス指板をF1やピットで使われる工業用両面テープで貼り付けている。と記述されています。
2000年代に入ってからステンレス指板に興味を持ちネット検索してたらたどり着いたPGMのホームページ。
ついに見つけたステンレス指板ページには
「ステンレス指板のベース作成は大変なため、もう二度と作成しません」
と書かれていたのは今でも覚えています。悲しい。
ステンレス指板の音は以外と生っぽい
ステンレス指板ってバッキバキのギャンギャンの音がするのかな?というイメージを持たれる方も多いと思いますが、以外と自然な印象です。下記にて諸田コウ氏がステンレス指板のベースを使って録音した音源を紹介していますが、金属の印象は余りありません。
実際にステンレス指板のベースを触らせて頂き音を出したこともあるのですが、ハイが暴れる感じはあるけど、思っているより普通のフレットレスベースの音が出て驚きました。
ただ、和音を弾いた時の響き・音の揺らぎがうっとりするほど綺麗で、サスティーンは普通のベースと比べると長く感じました。あくまで少しだけ触らせてもらった時に「感じた」というレベルです。
ステンレス指板が持つ音の特性なのか、触らせてもらったベースのサスティーンが長かったのかは正直わかりません。
また、諸田コウはブリッジ寄りにハムバッキングピックアップを搭載しており、メロディアスな演奏をする時には後ろ2つのピックアップを鳴らしています。
諸田コウさんの愛器「銀」
指弾きで瞬時に切り替えられるよう特殊な場所にある3点スイッチ。
メロディを弾いたりする時には写真のようにブリッジ側のポジション。普段はネック側のポジション。 pic.twitter.com/g5fB67m8KL— KODAIRA (@5dokuBASS) 2015年1月14日
まとめ
ステンレス指板のベースについて知ってる限りのことを書いてみました。現状でしたらVigier以外のメーカーから手に入れるのは難しいそうです。
後半は諸田コウさんの話しになってますが…諸田コウさんについては別記事で書いていくつもりです。
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